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この大きな街は四層構造だ。 上から、周辺の三国の大使館があり、この街の大公の住む最上層。 教会と診療所のある上層。 大きな宿屋と商工会議所のある下層。 空を飛ぶ乗り物の発着所のある最下層。 そして、その上層に大きな時計塔がある。 この街の最初から、今までを静かに見守ってきた。 この街が出来た最初の頃、この街にはほんの少しの人しかいなかったらしい。 らしいというのも、私がこの世界に存在する前の話だからだ。 そもそもこの街ができたのは、この周辺の三国の交通の要所としてだった。 しかし、この街の周辺はまだまだ未整備で、多くのモンスターがいた。 城壁により、この街は守られていたものの、一歩街の外に出れば命がけだった。 冒険者達の間では、この街にたどり着けることが一種のステータスとなるくらいだった。 当然、街の人口もそこまで多くは無かった。 しかしながら、周辺三国の中間地点ということもあり、この街にも人が集まり始めた。 冒険者たちが相互に腕を磨きあい、技術が向上したことも追い風になった。 熟練した冒険者が増え、この街の周りのモンスターも大きな脅威ではなくなったのだ。 また、周辺の三国とこの町を結ぶ空飛ぶ乗り物が開放されたことも大きかった。 もっとも、乗り物を利用するためのパスは、大金を叩くか、 この街のために大きな貢献をしないと手に入らないものではあったが。 多くの冒険者が、周辺の三国からこの町へ活動の拠点を移動した。 下層と最上層の二箇所の競売所では、処理できる人数に限界が生じ、 上層と最下層にも臨時の競売所が開設された。 下層では、常に冒険者達の掛け声がやむことが無かった。 私がこの街にたどり着いたのも、その頃だった。 仲間達は私がこの街にたどり着けたことを祝福してくれた。 街自体に活気があり、私はすぐにこの街が好きになった。 特に気に入ったのが上層にあった時計塔だった。 大きな時計塔が、私を含めたこの町を見守っているようで、 私はよくこの時計塔を見に来たものだ。 しかし、そんなこの街にも転機が訪れる。 きっかけとなったのは、東の大国で大規模な傭兵の募集が行われたことだ。 それまで東の国は閉鎖的で、行くためには非合法なルートを利用するしかなかった。 それが傭兵の募集と同時に、公的な渡航ルートが用意されたのだ。 もともと冒険者は、未知の地に憧れる人種だ。 多くの冒険者が、東の大国へと移動して行き、この街の人口は減少しはじめた。 私も彼らと同じように東の国へ渡る事にした。 そして今、私は懐かしい時計塔の前に立っている。 あの後、東の国とこの街は魔法により、相互に一瞬で移動できるようになった。 私もそれを利用してこの街に帰ってきたのだ。 この街に最初にたどり着いた時には未熟だった私の腕も、少しはマシになったと自負している。 この街は、東の国へ行くほどの技量は無い冒険者達の拠点として今も使われているようだ。 この街はこれからどのような変化をしていくのだろうか。 いずれにせよ、この時計塔は変わらずにこの街を見守り続けていくのだろう。 さて、そろそろ行かなければ。次の冒険が待っている。 お題は以下よりいただきました。 001:時計 ファンタジーな100のお題 http://www.geocities.jp/e_e_eggs/100txt/ |
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